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私が小さく頷くと、男の子は少し考えた素振りを見せた後。
『ねぇ、ピーター・パンって知ってる?』
『ピーター・パン?』
『そう!ピーターはね…』
そうしゃべりだした男の子の話を私はいつの間にか真剣に聞いていた。
『それ、ホント?』
『ホントだよ!ピーターはフックと戦ってね、それから…』
自分が見てきたように話す男の子。
私はその子が話すピーター・パンにどんどん引き込まれていった。
親に頼んでピーター・パンの絵本を買ってもらうまでに。
毎日、私と男の子はピーター・パンについて話した。
私は事故に遭ったショックなんてどこかに吹っ飛んでしまい、毎日が楽しいくらいだった。
だけど、私は足が治って病院を退院することになった。
『よかったね』
それを話したら男の子は笑って言ってくれた。
うれしいけど、でも私は…。
『寂しい…?』
『…うん』
『そっか、ならこれ持ってて』
はい!と渡してきたものを私は受け取った。
それは星の形をしたキーホルダだった。
だけど。
『半分しかないよ?』
『大丈夫。もう半分は、ほら』
私の前で開いた男の子の手の中には半分の星。
『また会えるように半分ずつ持っていよう。離れてもこの星のカケラがまた僕たちを会わせてくれる。また会えたらこの星を一つにしよう』
『約束だよ』
『うん、約束』
男の子と星の約束を交わして、次の日に私は退院した。
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