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「何、また読んでるの?」
「あっ、みっちゃん」
「あんた何回読む気なの?その本」
「だって好きなんだもん」
そい言って大事そうに本を抱え込む私にみっちゃんは呆れたようにため息をついた。
「飽きないね。こんな歳になってまでそんなの読んでるのあんただけだよ」
「だって好きなんだもん」
私が読んでいたのは『ピーター・パン』、もちろん童話の。
私は小さい頃からこの話しが大好きで大好きで、今抱えてるこの本は小さい時から離さないで大切な物。
私の宝物。
「高校生にもなってピーター・パンなんて、飛田からも何か言ってやってよ」
「ん?俺も好きだよ、いいじゃんピーター・パン」
夢があって、とそう言ってにこっと笑った。
みっちゃんは私達を呆れた顔で見てきた。
「飛田といいユミといい…。いいよ二人で仲良くピーター・パンの話でもしてな。私は用事あるから行くよ」
じゃあね、と残してみっちゃんは行ってしまった。
じゃあねと手を振ると、飛田君は私の隣に座った。
「飛田君も好きなの?」
「うん、小さい頃からね。大友さんはなんで好きなの?」
「ん〜、私ね昔入院してた時があってね」
そう私は昔、事故に遭って入院をしてた時があった。
足を骨折をしただけで酷いケガではなかったけど、子供の私にはショックだった。
私はすっかり落ち込んでいて、大袈裟だけど『もうダメだ』って思ってた 。
だけど、ある日私が病院の庭にいると誰かが話し掛けてきたんだ。
『どうしたの?』
『え?』
顔を上げるとそこには自分と同じぐらいの歳の男の子がいた。
『足…ケガしたの?』
『うん』
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