笑えてくるほど大好きです。
「剣城ー!パス練してー!」
「ああ」
アイツの頭の上はチョココロネ…コロネ…ハッ!
今俺、何考えてたんだ!?
いくら腹が減ってるとはいえ、チョココロネはねぇだろ。
仕方ねぇ、パス練に集中するか。
「ねぇ剣城」
パス練をし終えた松風が、予想を超えた発言をぶっ放すことを、俺は知らなかった。
「いつ“天馬”って言ってちゅーしてくれるの?」
「ぶっ!!!」
「うわ…剣城きたな…」
「おまっ!ハァ…。お前なぁ…」
予想だにしない言葉が降りかかってくるとは思わなかった。
(お陰で飲んでたドリンク吹いたし)
しかも松風の口から出るなんて。
今は雷門にいない南沢先輩さえ“キス”なんてワードは出さなかったのに…。
しかも何で今急に。
今周りに人が居なくて良かったと、心底思う。
自分の羞恥を悟られないためにも、顔を洗ってタオルで隠す。
腹、減ってきたな。
マネージャー達が用意してくれた弁当を取りに行こうとした時―――。
「ねぇ、剣城!」
「…あんま調子にのるなよ」
「もみあげ垂れてるよ。あとおでこに拭き残しがある」
「えっ」
もみあげ、さっき顔洗った時に塗れてたのか。
「拭いてあげるー」
「いい」
「拭いてあげるってばー」
「いいから、天馬」
ぐっと手首を掴んで壁に押し付ける。
いきなりで驚いたのか、たじろいでいる。
コイツ、不意打ちに弱いな。
目なんか見開いちまって。
…いじめたくなる。
「つ…剣城…」
「何だよ」
「その…」
ハッキリしねぇ奴だな。
ぐ、と顔を更に近づけてみる。が、それ以上は後ろに下がれねぇぜ?
「右の…もみあげに天道虫付いてるよ?」
「はっ?」
「あーっ、飛んでっちゃった」
わたわたと手を降る。
そういえばコイツ、動物とかそういうの大事にするタイプだったな。
…ていうか、そんぐらい早く言えよ。
意地悪、してやるよ。
「天馬」
「なに?天道虫剣城」
「………萎えた」
「あははっ。ちゅーでもしてくれるの?」
「だから萎えた!くそ天馬!」
笑えてくるほど大好きです。
(「えっ…」)
(「俺を馬鹿にした罰だ」)
(「ひっ、酷いよ剣城ー!」)
(でこにキスしただけでも良いと思え)
京天病様に提出
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