ブレイクハートの末路


『お前、飽きる』

ばきばき。

『もう興味無くなった』

バキバキ。

『じゃあな』

ぱりん。


また、フラれた。私はきっと男運が無いんだ。
いつもこうで、うまくいかない。しかも相手もまだ中学生というのに、毎回私が浮気相手になる。
あのマセ野郎。いつか捻り潰す。
いつか瀬戸先輩に打ち明けてボコボコのフルボッコにしてもらおう。


「榎本ー?んなとこで何してんだよ」

「あー…何だ狩屋か」

「何だってなんだよ…」

「ま、いいか。ねぇ聞いてよ」

「またフラれた?」

「っんでそれを!」

「ちょーど通り掛かったら、聞こえた」


ば…場所さえ選ばなかったのかあのマセ野郎…!
てっきりこの場所、あんまり知られてないと思ってたのに!見られたし聞かれたじゃんか!
マジでざっけんな!

…はぁ。
もう、こういう時はやけ食いしたいなぁ。帰りにどっか食べ放題に行こう。今凄く糖分が欲しい。


「狩「パス。今日部活あるし」

「…サボろうとする奴が部活を口実に逃げようとするなよ…」

「今日は必殺タクティクスの練習だから外せねーんだよ」

「今日“は”?じゃあ無い日ならいいんだ」

「あ」


馬鹿だ…。いやあたしよりかは頭がいいんだけど、どうも部活の事になると抜ける。
まあ逆を言えば、それほど部活に馴染んできたとも言えるだろう。

いいことだけど、いいことじゃないなぁ…。

まあここにはもう用は無いし、さっさと退散するとしますかな。


「……待て、よ」

「?どした」

「…………部活、無い日に、話聞いてやるよ」


……不覚にも、顔を赤らめながら言う狩屋にキュンとした。
アンタいつからそんな可愛い技を覚えたのよ。ツンデレ?ツンデレか?

いかんいかん。方向性が判らなくなってきた。会話を思い出してみよう。

もう悲しくはなくなったけど、あたしはフラれた。それを狩屋に見られ聞かれた。狩屋に相談しようとしたら、部活を口実にして逃げる。だけど何か聞いてやるよとか言い出す。
…うん。これでいいはずなんだけど。どこで間違った?


「で、どうなんだよッ!」

「いやそんな声を荒げなくても…」

「おっ、俺が聞いてやろうとしてんだぞ」


ぽかん。
ああなんだ。狩屋は構ってちゃんなのか。それ半面、優しい。
崩れた心はまた復元。人の優しさによって簡単に元通りになる。


「ありがと」


そう言えば、彼はそっぽを向いて、さっきより赤くなった。





(以外と扱いやすいな…)





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