後光の夕焼け


久し振りに、太陽が学校に来た。
きっとサッカーがやりたくて来たんだろう。
授業が終わってから、馴染みの友達が話し掛けてきた。


「雨宮君、戻ってきてよかったね」

「うん。まあまた一時的なものだろうけどね」


小さい頃から、体が弱かった太陽。
でもサッカーの才能だけはあって、一年でキャプテンを務めてしまう。
もちろん新雲学園は勉学にも部活動にも力が入っている。
だからサッカー部の先輩達だって、文句なしに強い。
でもその中でも、太陽は人一倍目立つ。
暖かい色の跳ねた髪、綺麗な水色の眼、少し長い下睫毛。
女の子が憧れる容姿を持つ。

そんなんだから、先輩からも同級生からもモテまくる。


「太陽が好きだーって人、すんごい太陽の机にラブレター入れてたんだよ。凄いよね」

「まあ、雨宮君だし」

「それに、休み時間になる度に“雨宮君居る?”だよ?あーあー太陽だけに対応がめんどー」

「あはは。それで、本人は?」

「多分空き教室に居るかも。なんやかんや逃げてるんじゃない?先に帰ってていいよ」

「解った。じゃあまた明日ね」


“またね”と言いながら手を振る。

さて、自由奔放な太陽を探しますか。
保健室じゃなくて、なんで教室で寝るのかは解んないなぁ。
もうああいうベッドは飽きた、とか?

一つ一つ教室を覗いて、探していく。
上の階は二年生だから、無いとは思う。それに委員会で使ってるし。

…で、どこだろう。


「何してんの?」

「あー、太陽を捜しに………って太陽!?」

「うん」


捜していた筈の太陽が、廊下側の窓から顔を出していた。
ドアから入って、太陽に近付いた。

もう、なんでこんなとこに居るのよ。

外側の窓に移動した太陽が、ぽつりと呟いた。


「………サッカー、やりたいな」


とても小さな声ではあったけど、静寂な教室の中では目立った。

大丈夫だよ。出来るよ、サッカー。
だって太陽、ここまでやってきたじゃない。


「太陽。私が居るよ。みんなもいる。たとえ病気でも、太陽から離れる人は居なかったでしょう?」

「…うん。そうだね!ありがとう花菜。僕頑張るよ」


そう行った太陽が、光って見えたのは後ろにあった太陽のお陰だった。
神様も応援してるよ。





(みんな太陽が大好き)
(私も大好き)
(明るい太陽が)
(好き)




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