唸れよ響けよマイハート


いやー、今日は涼しい気候となりましたなぁ。

暑かった時は過ぎて、過ごしやすい時期になった。
もち、私は食欲の秋である!

ふふふ、近くのお菓子屋のケーキ、絶品なんだよね!
種類も豊富で、食べやすい大きさ、それに行き過ぎてサービスしてもらうことはあるし!
最高だよ!ホントに!


「らーんーまーるー!」

「ん?」


蘭丸は男友達の中で一番仲が良い。
そんな蘭丸は、私のケーキバイキングとかによく付いてきてくれる。
ぶっちゃけ蘭丸は女顔だから、そういう店に入っても全ッ然違和感が無い。
甘いものが苦手な女友達が多いから、助かるんだよねー。


「まさか、またお菓子食べに行こうなんて言うんじゃないだろうな?」

「ご名答!」

「全く…。まあいいけどな。あんまり食べると太るぞ?」

「ひ、ひどッ!女の子にそういうこと言う!?」

「俺だけに毒舌な後輩がいるから、つい」

「また狩屋君か…。蘭丸って影響受けやすいね」


蘭丸はすごく他人に影響を受けやすい。
こないだなんて、『なんとかなるさ』とか『うぎー』とか言ってて、絶対一年生だなって思った。
普段言わないことを言ったんだ。
誰かから受け継いだほかないだろう。


「で?行くんだろ?」

「うん!駅の―…」


†-†-†


そんなわけで待ち合わせしてやってきましたお菓子屋!
やー、いつ見ても装飾とか外装とか可愛いー!
可愛い物に滅法弱い私は、もうすでにお菓子みたいに甘い。
いつも店の外で目の前のお菓子屋にメロメロだ。

そんな私をジト目で見た蘭丸は、一人で店の中へと入っていった。
うぇっ!?ちょっ!蘭丸!

慌てて私も中へと入る。
お金があるときしか行かないけど、もう結構な顔馴染みだ。
ついでに、蘭丸も。


「いらっしゃいませ!何名様でございますか?」


いや見りゃ判るだろといつも思いつつ、「二名です」と答える。
今までの人とは見慣れないから、この人、新人かな。もしくはアルバイト。

「こちらへどうぞ」と催促されている時、店員さんはチラチラと蘭丸を見ていた。
…ちょっとムカつく。
え?何で?嫉妬?

いいいいや私に束縛心なんて無いけど!あ、いや、その前に蘭丸とは付き合ってないじゃん!
あれ?でも端から見れば付き合っ…。

心の中でギャーッ!っと独りでに騒ぎながら、メニューで顔を隠す。

今までなんとも思わなかったけど………蘭丸を恋愛対象としてみたことがなかった…かもしれない。
私はいつも甘いものが食べたいから、甘いものが平気な蘭丸を連れてきてたけど、これってデートなんじゃ!?
そそんなつもりないのに、今考え始めてから心臓はバクバクしだすし、耳まで真っ赤だってことが判る。


「あわわわわ…」

「どうした花菜?」

「ななな何でも無いよ!」


うわー…動揺っぷりが凄いな私…。
名前呼ばれただけでももう駄目じゃん…。

ああでも、私が蘭丸を好きだとしても、蘭丸にアポは出来ないな。
やっぱり今の関係を壊したくないし。
それに、気付かないだろうしね。


頼んだケーキはちょっと経ってからきた。
震えて食べる私を余所に、蘭丸はパクパクケーキを食べてしまう。
うぅ、蘭丸を好きだと解ってしまった以上、直視出来ない!


「そんなにケーキ見つめて、食べたいならやるよ」


スッと差し出してきたのは、フォークに突き刺さったケーキ。
…これを食べろと!?
これは交際をしている男女が『はいっ、あーん』なんてハートが飛び散るぐらいの…!

と、そこで蘭丸がニヤリと笑ったのには気付かない私。


「あーん」

「ッ!?」

「やってほしいんだろ?」

「え、ちょ」

「食ったら言ってやるよ」

「何を!?」

「食べた後のお楽しみ」





(し、しまった…)
(好奇心で食べてしまった!)
(「俺お前のこと好きだよ」)
(「は?」)
(突然言われて拍子抜けした)
(…有り得ない)





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