「ベルモットは大切な友人だ」
「ベルモットはそうは思っていませんよ、貴方のこと」
「私がベルモットを大切に思いたいんだ」
「とんだ甘ちゃんですね」
だけどベルモット自身、そんな甘ちゃんが好きなようでもあった。
僕は彼女に意地悪を言っているのだろうか。
「組織から逃げたらベルモットは貴方を殺すでしょう」
これはきっとそうなる。ベルモットはそういう人間だ。誰彼構わず人を殺す様なイカれた女ではない。それでも線引きはしている。殺さなければならない理由を自らに与えるのが得意なのだ彼女は。
…彼女だけじゃない。僕も…、目前にいる彼女も、きっと。
「そうなってもベルモットを恨んだりはしないよ」
「友達だから?」
「うん、友達だから」
真っ直ぐな瞳は強い意思を持って僕を見据える。こういう時の彼女の目は普段からは考えられない程力強い。見つめられているだけでこちらが怯んでしまいそうになる程。
恐らくこんなところに居るべき人間ではないのだろう。叶うことなら今すぐここから逃げ出してほしい。僕らの手が届かないずっと遠い場所まで。
それでも僕らはどんな手を使ってでも貴方を探し出すだろう。貴方が大切にしている人達を殺めることになっても。
どうかそのことを許してほしい…。

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