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サエさんはどうやら腰が好きみたいだ。
隣に並んでいるとさり気なく腰を攫われるし、そしてそのまま腰骨をゆっくりとなぞられるし、ほら今も。ベッドに横たえられて私の腰骨に口づけ、甘噛みをする。
そして私はそれに抵抗している途中。
「考え事?」
『いや、違、っていうかやめてください』
「……俺の事を考えてるなら別にいいんだけど、ね?」
やめてくださいという言葉、私結構はっきり言ったつもりなんだけどなぁ。どうやら彼の耳には届いていないみたいだ。
繰り返されるその行為に、私はサエさんの頭を押し返したり、手で腰骨を抑えようとしたけれど、所詮女の力、普段テニスで鍛えているサエさんには適わなかった。
『ちょっと、ホントにサエさん、くすぐったいからやめて』
「えー?」
『えーじゃないですよ、えーじゃ!もう私帰らないと、今日の晩ご飯の当番私ですもん』
「へえ、料理作っているんだね。今すぐ僕のお嫁さんになれるよ」
『はい!?お嫁さん!?』
「だからもうちょっと待ってて」
サエさんはようやく顔をあげて、私の目をじっと見つめた。と思ったのに、再び目を伏せたサエさんによって、私の腰には大きな歯型がくっきりと。
「だからこれは約束のしるし」
140523キスの日:腰(束縛)