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覗きたくなる隙間がそこにはあった。

だから覗いた。それなのに、目が離せなくなってしまった。
ゆっくりでもなく激しくもなく、上下する裸体がそこにはあった。声を出すのを抑えているのだろうか。それでも、ねっとりと張り付くくぐもった声に、ぞわりと鳥肌が立つ。なんてものを見てしまったんだという後悔と、罪悪感がぐるぐると全身をかけめぐるが、それでも目が離せないのだ。

何故なら、彼女とはずっと目があったままだからだ。
吸い込まれるような目に文字通り吸い込まれて、みずみずしい唇と、反り返る上半身とぴんと張った先と、ほどよく濡れた肌と、その生々しく揺れる肉体に、思わず欲情してしまったのだ。歯をくいしばって、バンダナを震える手で外し握りしめ、思わず漏れそうになるため息に、手の甲で蓋をする。そんなことをしつつも目が離せない隙間から、彼女は自分を見つけると、ゆっくり口角を上げていった。


『ねぇ、あなたもしてくれる?』


そう、動いた気がした。
ごくりと喉を鳴らして、蓋をしていた口からほっと息を吐く。彼女はその様子を見ていたのか目を細めて、口角をあげたまま、唇に人差し指をあてがった。だから内緒にしてね。そう言わんとする行動に、ただ頷いて、そっとその場を離れた。
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