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「なぁ、お前」

『ん?』

「ここ、どうしたんだよぃ」

『どこ』


丸井の部屋のベッドで、仰向けになって携帯いじってたら、テレビを見ていたはずの丸井が、いつの間にかベッドの上にいた。そして、私の足を肩にかけて、ここだよここ、なんて内股を指差す。
ちょっと何やってんの。
部屋着のもこもこショートパンツがちょっとだけめくれた。今更恥ずかしいなんて感情はないけど、体勢がきつい。体をおこしてそれを見ると、確かになんか赤い痕があった。虫刺されかな。身に覚えないや。


『さぁ?』

「えっろいの」

『そんなんじゃないし』

「はー?最近彼氏できたとか言ってただろぃ」

『それいつの話よ。もうとっくに別れたっつの』

「はやっ」

『あんたには負けますけど』

「まぁな」


そこドヤ顔するところじゃないから。
呆れ顔で、私はまた、ベッドに頭を沈めた。メールの続きでもしよう、なんて、受信音のなった携帯を取ろうとすれば、
何故か丸井に携帯をさらわれた。
何すんの。
丸井は若干笑って携帯を手の届かないところに放り投げる。そして、未だにかけていた足を指でなぞって、あの赤い痕に吸い付いた。


『ちょっと、丸井』

「ん」

『あ、やっぱだめ、そこでしゃべんないで』


ぺしぺしと丸井の頭を叩けば、意外にもすぐに離れてくれた。
こいつ、いきなり何しやがる。


『まじ丸井意味わかんないわ』

「俺もわっかんね」

『なんなのよそれ』

「その痕に煽られた……からお前が悪い」

『はー?』

「ていうか、んな恰好でうちにくんなよ」

『今更じゃん』


そうだけどよ、なんて言いながら口元でもごもごと丸井はしゃべる。
なんだ。今日の丸井、変。
ぐわーっと髪の毛をかきむしった丸井。それでも彼の髪はさらさらと整っていてなんか悔しくなった。だから、彼の肩を軽く蹴って、そのまま倒れた丸井に乗り上げて、首筋に吸い付いた。ちょっと慌てた丸井に、お返し、だなんて笑って言う。


『丸井もその痕、むかつく』
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