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「これ、受け取ってもらえるかな?」


目の前に出されたのはかわいらしくラッピングされた小さな箱。ええっと今日は何日だっけ?3月の14日……そうかホワイトデーか!って思ったけれど、私このお方にバレンタイン送った覚えがないのだけれど。このお方、そう、青学のテニスの天才と呼ばれる不二周助に。


『あの、私、あなたにバレンタイン渡してないですよね?』
「うん、そうだね」
『え、でもこれ、ホワイトデーなんですよね?』
「そうだよ」


まぁ、確かにバレンタイン渡してなくてもホワイトデーにもらうことはあるだろうけど。私彼と話したことなんてないし、寧ろ次元の違う人間だと思って避けるまでは行かないけど、遠巻きに見ていたひとりなんだけれど。


「やっぱり迷惑だったかな……」
『いや、そういうわけじゃなくって』
「それとも僕のこと嫌いだった?」
『そ、そんなめっそうな……!』


いやいや単純にそんな有名人からまさか貰い受けるなんて思ってなかっただけで。この3年間一度もこんなことなかったし、多分もうないだろうこの一回がまさか不二くんとは思わなかっただけだ。


「受け取って、くれる?」
『う、うん』
「わぁ、嬉しいよ」
『いや、こちらこそありがとう』


にこにこと笑ってる不二くんは、開けてみて、と私に催促した。そっとそっと包装を綺麗にといていき、箱を開けてみて、私はあいた口がふさがらなかった。


「僕からの気持ち。受け取ったんだよね?」


いやいやそんなまさかまさか。箱の中身と不二くんを交互に見るけれど、彼はにこにこと笑ったまま何も言わない。絶対に夢だ、なんて頬をつねってみたけれど痛くて、全然夢じゃなかった。彼は箱の中身を私の薬指へと持っていき、するりとはめる。ぴったりとはまったそれはきらりと光った。


「僕と結婚してください」


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