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『滝くん、ホワイトバレンタインだって』
「へぇ」
『どうでもいいって感じだね』
「そうでもないよ。なんなら、温め合う?」
『そういうネタは知ってるんだね』
「お褒めいただきありがとう」
『褒めてはないんだけどね』
「それにしても梓月さん、今日早いね」
『え、そうかな』
「いつもはこれより2本あとのバスでしょう?」
『何で知ってるのかな?』
「ふふっ何ででしょう」
『い、意味はないよ!ただ早起きしたから早めに乗っただけ!』
「ふうん?そうなんだ」
『そうだよ?』
「ふうん」
『……ホントだってば』
「じゃあ、そういうことにしとこうかな。それにしても誰も乗ってこないね」
『雪だからじゃない?』
「まぁ、この雪じゃ学校も休校だもんね」
『え』
「あれ?梓月さん知らなかったの?今日は学校お休みだよ」
『うそっそんな……ホントだ……お母さんから連絡入ってる……』
「おもしろいなぁ」
『そういう滝くんこそ!学校に向かってるじゃない!私と一緒だよ!』
「いいや、梓月さんとは違うよ」
『どこが違うの』
「俺は梓月さんがこのバスに乗ると思って乗っただけだから」
『な、何それ』
「くれるんでしょう?チョコ」
『……』
「今日はホワイトバレンタインだし、なんなら、温め合おうか?」