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「てん」
『ん?』
「ご飯つぶ、ついてんで」


小さい悲鳴のような声をあげながら、顔を赤くしたてんは、自分のほっぺたを手のひらで覆った。どこに?とこれまたか細い声で俺に聞いてくるのが、たまらなくかわいくて、適当な場所を教えるという意地悪をしてみた。
案の定、見当違いの場所に指を伸ばすてんの手を攫って、唇の横についたご飯つぶをなめとると、てんはゆでだこのようにさらに真っ赤になった。
あーほんまかわいい。


『な、なんでそんなことするの?』
「ん?」
『……舐めなくても……』
「そんなんてんがかわええのが悪い」
『な……なんなの、それ……』


許容量オーバーなのか、それ以降何も言葉を発さずに、もくもくとお弁当を食べ続けるてん。顔を覗き込んでも、必死に目をあわせないように逸らそうとするのが、またかわええなぁとは思うけど、なんだか気に喰わない。
もう一回、てんの名前を呼ぶと、一瞬肩を震わせて、両頬を自分の手のひらで覆って、俺を見上げた。何、と紡がれる前に、その唇にちゅーしてやる。


『光……!』
「なん?」
『だからなんでそんなことするの!』
「せやから言うたやろ?お前がかわええのが悪い」
『……光のあほ』
「なんとでも言え」


せや、なんとでも言うたらええ。そんくらいてんのこと好きやっちゅーこと、たーんと思い知っとけ。
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