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「で、どうだ?」
『第三群が左の角で待機しております、どーぞ』


息も乱れ乱れ、ぐったりと項垂れるように生徒会室のソファに座った跡部に、私は外の様子を伝えた。
さっきまで堂々と校門をくぐり、それぞれの声にこたえていた何様俺様跡部様だが、高等部に入ったこともあり、よりいっそうファンが増えていたようで、おしくらまんじゅう状態になった跡部を助け出したのは、他でもない私だった。


「今年もすまねぇな」
『私は跡部のボディガードか』


不服そうに、少しむっとした顔をした跡部を見て、私は口をつぐんだ。余計なことは言わないでおこう。
にしても毎度毎度飽きないもんだ。生徒会室のドアから外を窺いつつ、女の子たちの手に持つプレゼントの大きさにため息をはいた。これどんどん大きくなってってる気がする。跡部の手は二つしかないっつの。
跡部は、ミカエルさんに電話したようで、プレゼント回収は今年も全件ミカエルさんに任せるようだ。


「ミカエルがなんとか対応すんだろ」
『毎年大変だねぇ』
「まぁな」
『いやミカエルさんが』
「……」
『え、ちょっと何よ、跡部』
「俺へのねぎらいはねぇのか」


いつの間にか後ろに立っていた跡部に、ドアから引きはがされ、ソファに軽く投げ飛ばされる。そのまま、跡部は私の上に覆いかぶさった。


「俺は今すぐお前との関係を公にしていいと思っている」
『は、ふざけないで』
「お前との関係を公にしたら、全て断るつもりだ」


そうしたら、この苦労もなくなる。そうだろう?
何がそうだろうなのよ。まるで私が悪いんだと言わんばかりに、跡部は私を見つめてくる。


「雌猫に囲まれている所を引っ張り出したのはどこのどいつだ?」
『あれは跡部が大変だろうと思って』
「俺は別に助けてくれなんて言ってねえ」
『なっ』


むきになる私を見て、跡部は笑った。
ああもう、その通りだよ。跡部の目はごまかせないってわかってるけど、でも、そんなこと素直に言えるわけないじゃない。
至近距離にあった跡部の顔を引き寄せて、そのまま唇を奪う。それが跡部の誕生日プレゼントになるなら、どうぞ、ご勝手に。
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