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今日はどうやら海堂くんの誕生日らしい。
目の前にはどこから集めてきたのかわからないが大量のねこネコ猫。その中にはカルピンもいる気がするし、英二もいる気がするんだけど、もう私は何もつっこまないことにした。
っていうかどうすんのこれ。部室がやばいことになってるんだけど。これ手塚いたら確実にアウトなんだけど。


「手塚が九州に行っててよかったね」


隣にいた不二はなんとも愉快そうに笑っていて、関与しているわけではなさそうだが楽しんでいるのは確かだった。


『こんなところ見られたら確実にグラウンド走らされるわ』


入り口で頭を抱えている大石を素通りして中に入ればむわりと獣臭が充満していて、少しだけ頭が痛くなったため、窓をあけた。
未だに海堂くんの来る気配はない。


『ねぇ、英二、これどうしたの』
「んー?集めた」
『いや、そうじゃなくて』
「桃とおちびがあちこち駆けずり回って猫集めて海堂を驚かそうって」
「やっぱり……」
『あんのおバカども……』


寧ろ私ら3年の心臓の方が危うかったわ。っていうかなんで英二も混ざってんのよ。大人しく混ざってやんなよ。そんなところに後輩思い発揮しなくていいから。
みゃあみゃあにゃあにゃあ、あっちいったりこっちいったり。そしてその当事者の桃も越前もいないじゃないの。


『ねー……もうどうしたらいいの』
「あ、梓月が猫に埋まってる」
「シャッターチャンス……」
『おい、笑いながら撮ってんなよ!不二!』
「梓月が助けを求めて助けてもらえる確率ほぼ0%だね」
『いやいや、乾、ナチュラルに遅れてきてそれはないでしょ。乾が助けてよ』
「遠慮しておこう」
「やばい!梓月が猫まみれ!すっごいおもしろいじゃん!」
『おもしろがんな英二!』


ああもう、これだから。
大石はうずくまってぶつぶつと何を言ってるのかわからないし、この様子を見ると主犯が現れるのは当分先だろうし、早く来てくれ、青学の良心。


「……ちっす」
『きたぁああああ海堂くんんん』
「な、なんなんすかこれ」
『助けてよおおお』


やっと来てくれた海堂くんに涙目で訴えれば、戸惑った顔をした海堂くんは、私と私のまわりの群れに釘づけになった。


「梓月の猫盛り……ってところかな」
『ね、ねこもりっ!?』
「桃と越前からの誕生日プレゼントだって」
『はっ!?』
「梓月先輩と、猫……梓月先輩の……猫盛り……」
『いや、いやいや、違う違う、私は違うから!えっ!いや!あの!海堂くん!ちょ、まっ、ぎゃあああああ』




「ねぇ、桃先輩、これが海堂先輩のデレモード?」
「常々梓月先輩のこと撫でたそうにソワソワしてたけど、こりゃあ想像以上だな!」
「確かに梓月は小動物系だしね」
「プライドがちょっと高そうなところとか猫にそっくりだからね」
「そうそう!」
「あ、言っときますけど英二先輩も例外じゃないんで!」
「うわあそれは遠慮しとく……」
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