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今日は厄日だ、と柳蓮二は一人ごちる。

何故かうまくいかない。
自分としたことが、課題のページも間違えてやっていたし、朝練が中止になったことも忘れていたし、何故か目的地と逆方向に歩いていたし。

これは明らかにおかしい、と柳蓮二は思う。

隣の席が気になってしょうがないことに気付いたのはいつだったか。
今は授業中だが、こくりこくりと動いている頭が視界に入る。それはまぁいつもの事なのだが、さらさらと流れる髪の毛に触れてみたいという欲求が手を震わせる。
あまりにも神経を尖らせてしまって、息すら聞こえるような気がして、心音までも聞こえそうな勢いだ。

調子が狂う、と柳蓮二は頭を抱える。

いつもは俺に対して厳しいことばかり言ってくるというのに、こうやって寝ているところを起こすと、寝ぼけた顔でふにゃりと笑って謝るのだ。
その愛らしさと言うものは言葉にいい表すこともできなければ、早まる鼓動を落ち着かせることもできない。

冷静になれ、と柳蓮二は深く息を吸い込む。

吸い込んだ空気は何故か甘くて、俺の中までしみわたってくる。嗚呼、どうしてしまったのだろう。
自分の事ならば自分が一番知っているはずであるのに、自分のどこを探してもこのようなデータは全くもって無かった。
この胸にせまるものはいったい何であるのか。悩ましいほどに考えてしまう原因は何にあるのか。
もし、彼女とこれからも共にいることができたならば、俺自身の新しいデータがとれるのだろうか?
ふわりと心地よい風が頬を撫でて、俺は窓の外を見つめた。

柳蓮二は、未だ、この感情にたどり着けていないのである。
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