今日も明日も
朝起きて、目の前にある間抜け面を見て少しだけがっかりする。
今日もごろごろしてよう。
こいつはきっと起き上がるなりそう言ってくるやろう。ため息も吐きすぎて、逆に吐けなくなってくるこっちの身にもなってほしい。
いつだってそうだ。
部活のことで悩んでる時だって、スランプでどうしたらいいのかわからない時だって、大会前に勝手につっぱしってしまった時だって、彼女はけらりと笑って、休もうよ、と声をかける。俺はなんだか急に、自分が馬鹿らしくなって、そうやな、なんて答えてしもうとる。そんな何気ない言葉で、つまりかけた何かを、ほっと、吐き出させてくれとる。
退屈な日々から、抜きだせたのはきっとこいつのおかげだ。
そっと触れた髪に、そのまま口づける。
ああ、ほんまに、ありがとう。
真っ暗な世界に色をくれたのはこいつやから。俺に明日をくれたのはこいつやから。だから、今度は俺の番や。
『蔵?』
「なんや起きとったん?」
『今起きた』
そう言って、幸せそうに笑うてんを抱き寄せる。
今日はどんな夢を見たのだろう。でもきっと、ええ夢やったんやろうな。
『蔵、今日も大好きだよ』
きっと、その夢が現実に変わりますように。
by 「like bored days」