後輩の財前光に、ぜんざい食いたいってメールしてみた。
現在午前ニ時、流石に起きてないだろう、そう思って机に携帯を置いた瞬間メール受信を知らせる音楽がなった。
携帯を再び開いて新着メールを見ると、これ以上ふとってどうするんすか、の文字。
なんで、なんで起きてるのこの子。
『余計なお世話だわ』
「は?」
『だから余計なお世話だつってんの』
「そないなことでわざわざ電話してこんでくださいよ」
『なんで起きてんの』
「てんさん俺と会話する気あります?」
『だーかーらーなんでこんな時間まで起きてんの』
「……ばか、あほ」
『おい、聞こえてんだよ』
「聞こえてたんやったらちゃんと会話せえや」
『……』
「急に黙るんやめてもらえます?」
あからさまな溜息をついて、財前は切ってもええですか、なんていう。
誰がそんなことを許した。
それに私はまだ質問の答えを聞いてない。
『ねぇ、なんで』
「わかってんやろ」
『……』
「てんさんから電話あるやろ思て待ってた」
『ふざけんな寝ろ』
「てんさんがはよ電話しないのが悪いんすわ」
『なんで待ってんのよ』
「好きな女待てんようやったら男がすたるってだれかさんが言ってたんで」
『寝ろ、バカ』
「そのバカに惚れたんはどこのどいつですかねー」
『私です』
「はよ寝て下さい」
『うん、おやすみ』
「また明日」
そう言って切れた電話を手に、ぐったりと項垂れた。
あーあ、もうホントいつまでこんなこと続けるつもりなんだろう。
勉強が忙しくなる受験生、あんまり寝れてないなんて財前に相談したら。
寝れない時はメールでも電話でもなんでもしてください、なんて言うもんだから思わず甘えてしまったけれど。
それがいつのまにか日課になってしまった。
そして、毎回行われるこんな電話のおかげでさらに私は寝られなくなるのである。
また、明日、財前に寝不足っすか、なんて笑われる。
親切なのか、意地悪なのかもうホントわからない。
そして、なんでそんな財前が好きなのか私自身にもわからない。
あいつと付き合うとわからないことばかりだ。
私はまた溜息を吐いて、参考書と向かい合うことにした。