▼ ▼ ▼

「ねぇねぇ梓月ちゃん梓月ちゃん!」
『おや、千石くん』


そう言って振り返った去年同じクラスで仲良くなった梓月ちゃんは今日もやっぱりかわいい。うんうん、女の子っていいよね!このまとってる空気っていうかなんというか全身から「女の子」って感じでさ!そんな女の子と朝一で話せるなんて今日もラッキー!って、違う違う、今日はそんなことがいいたかったわけじゃなくって。


「今日、南誕生日なんだって」


そう言えば梓月ちゃんは首をゆっくりとひねった。


『…南って誰』


さっすが俺が認めた穂里ちゃん!こんな時でもボケは秀逸!


「俺!南は俺!」


あーほら始まった。こんなボケに全力でツッコんでいくのはこいつくらいなもんで、違うクラスでもこの二人のコンビはよく見かけたし、何しろ掛け合いがおもしろいから見てて飽きないんだよね。


『ああ、君南って名前だったの。はじめて知ったわ』
「いや知ってたでしょ!俺と穂里3年間同じクラスだっただろ!」
『えっ』
「えっ」
『そうだっけ』
「そうだっけじゃねーよ!」
「はいはいそこまでー!今日もさえてるねー穂里ちゃん」
『でっしょー?』
「でっしょーじゃねーよ!」
『うるさいよ北』
「北じゃない……って、もういいよ」


脱力した西……じゃなかった南は先に続けてと目だけで言ってきた。なんだよー自分で言えばいいのにさ!人に頼ってばっかだからモテないんだって!


「でねでね梓月ちゃん」
『うん』
「南から話があるって」
「えっ!?おい千石!」
「こういうのは自分から言わなきゃダメなんだって!」
「いやでも」
『はっきりしなよ南』
「うおっ!?いきなり入ってくんな!」
「女の子にそんなこというなって」
『そうだよ、だからモテないんだよ』


あ、南へこんだ。あーもう、せっかくキューピッド役やってやってんだからさ、素直になればいいのに。今日のラッキーカラーはパープルだって教えてやったんだし。これで順風満帆!なんにも問題ないっていうのにさ。


「ほら南」
「……」
『……』
「あのっ」
『何』
「えっと」
『はっきりしろ』
「今日俺誕生日なので」
『うん』
「部活帰りに」
『うん』
「コロッケ買ってください」


うっわぁ!拍子抜け!ここは君をちょーだい!とか言うところじゃないの!?何、コロッケ買ってって。色気ないなぁ。ほら梓月ちゃんも呆れたように……って、あれ、すっごい綺麗な笑顔。そっかそっか、そうだよね、だって梓月ちゃんだもん。


『……バカだなぁ』


そう言って梓月ちゃんはぺしりと南の頭を叩いた。


『そんなのいつだって買ってあげるのに。色気ない』
「いっ、色気って!」
『さっさと部活行って来い。そんでいっぱい動いて汗かいてお腹すかせてきなよ』
「お、おう!」


そう言って南は俺をひっぱって教室を出る。後ろを振り向けばこっちに向かって梓月ちゃんが何か口を動かしてたから、どういたしましてって俺も口を動かした。まさかこの俺が女の子をとられちゃうようなキューピッド役をするなんてね。ま、でもだからこそ幸せになってもらわなきゃなー。そんできっといいことしたし、俺にもなんか素敵なことが……おっ!かわいい女の子はっけーん!ほら俺ってやっぱりラッキー!


▼南はっぴーばーすでー(笑)
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