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『大石、話があるの』
「ど、どうしたんだ、梓月……ずいぶんと怖い顔をしているけど」
『大石、ちゃかさないで』
「ご、ごめん」
『私は今からすっごく真剣な話をしたいんだから』
「真剣な、話?」
『実は……』
「もしかして手塚か!?」
『え、手塚くん、えっ』
「あいつのことなら心配ない、この前も元気にやってるっていうメールが届いたんだ」
『いや、え、それはよかった……じゃなくて!私が話たいことは!』
「手塚のことじゃない!?じゃあ、もしかして今度の合宿の件についてか!」
『えっ、合宿、ええっ』
「なんだ、梓月聞いてなかったのか?」
『聞いてないよ!』
「GWにレギュラーで合宿をするんだ、なんだ竜崎先生はマネージャーには言っていなかったのか」
『えええ……びっくりカミングアウトだよ……ああ、でも今私が言いたいのはそういうことじゃなくって』
「これも違う?となると……わかったぞ!新1年生への対応に悩んでいるんだろ!
うんうん、そうだよな、悩むよな……やっぱり最初はボールひろいや素振り、基礎体力作りを中心に
しないとダメだろう。俺達もそうやってしっかりやってきて今こうやってレギュラーとして試合に出ているんだ。
やっぱり基礎がないとダメだ。基礎ができていなくては、技術に伴わない。」
『ちょっ、大石』
「ほら、英二だってスタミナがたりなかったけれど、トレーニングをしていつの間にかスタミナ不足を克服したし、海堂だって、ブーメランスネイクが完成したのは日頃のトレーニングのおかげでもあると思うんだ」
『大石!大石ってば!』
「え?」
『え?じゃないよ!びっくりしたよ!めちゃくちゃしゃべるからびっくりしたよ!って、ああもうそういうことが言いたいんじゃないの、私は!』
「いったい、なんだっていうんだ?」
『だから……っ』
「?」
『生まれてきてくれてありがとう、って言いたかったの!』
「え?」
『今日は、大石が生まれてきた大事な日じゃないの……』
「あ……」
『大石のバカ!大好き!アホ!でも好き!』
「梓月……なんで泣いて」
『大石が好きすぎるからだよバカ!』
「……」
『な、何よその顔』
「いやぁ……俺も、梓月に出会えてよかったと思って」
『!』
「だからありがとう、梓月」
「……ところで梓月、俺のこと好きって本当?」