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「力を抜きなさい」
『そ、そうは言われても』
「ほら、こうすれば」
『んっ』


なぁ、これはどういう状況なんだばぁよ。校内をぶらっと歩いていたら、永四郎の後姿が見えた。声をかけようと思って後ろから近寄れば、あれれ永四郎以外の声。しかもこの声はわんらのテニス部のマネージャー、梓月てんだ。二人してぬーそーが?


「あったー何しとるあんに?……ちょ、おい、やー聞いてるさぁ?」
「聞いてるやし!」


裕次郎と校舎の陰に隠れて少し前かがみになった永四郎の後姿を延々と見続ける。がしかし、状況がまったくわからない。梓月の小さい身長じゃすっぽりと永四郎に隠れていて見えない。


「……緊張することはないんですよ」
『き、緊張はしてないけど!』
「けど?」
『あっ……はぁ、なんでも、ない、いたっ』


いやいやなんかちょっとエロくないかや?永四郎はいつも通りだが、梓月のこんな声聞いたことないし、息遣いも色っぽい。え、もしかしてそんな感じあんに?ぬーがや、二人実はいい感じだったんだばぁ?しかもこんな校舎裏とは言えど学校の中でアブナイことをしてるとかそんな感じやがや!?


『んー……っ』
「いい子ですね」
『……あっ!取れた!!』
「はぁ!?」
「取れたぁ!?」


梓月のいきなりの大声に思わず校舎の陰から飛び出すと、いっせいに永四郎と梓月がこちらを見た。ぽかんとした顔をした梓月はなかなかに拝めない顔でおもしろかったとか内緒やさ。


『何してるの二人とも』
「いやぁー」
「な、なんでもないさぁ」
「……この様子だと、きっと勘違いでもしていたんでしょう」
「なっ」
「ばっ、永四郎何言ってるやし!」
『勘違い?』
「ほら、梓月さんの手に刺さった棘を取っているときの声、色っぽかったですからね」
『色っぽ!?』
「って、なんだ棘抜いてただけかや」
『だけって他に何があるの』
「他にって……なぁ?」
「わんにふるのやめろやし」


はてなマークを浮かべてる梓月に、にやにやと笑えば、永四郎からため息が聞こえた。おっとこれはちょっとやばい予感するさぁ。夏でもないのにだらだらと流れる汗に、永四郎はにっと笑った。わー!でーじうとぅるさん!


「とりあえずあなたたちは掃除さぼってることを反省しなさいよ」
「ありゃーばれた?」
「ゴーヤ食わすよ」
「ゴーヤは勘弁!」
「ごめんちゃーい!!」
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