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「何やその跡、蚊?」
『!?』
「え、その反応何」


首元をつつかれて、思い返せば昨日の行為。
ああ、やってしまった、気づかなかった。つついてきたのが謙也で本当によかったと思う。だって絶対気づいてない。これがもし白石だったら……。


「キスマークか」
『……白石』


じっと試すように見られた後、首に視線が注がれて、にやりと笑われてしまった。お盛んやなぁ、とか一人ごちて、目の前の席に座る。そして、キスマークという単語を聞いて何か悟ったらしい謙也もぎこちない動きで白石の隣の席に座った。
あーあ、だから嫌なんだ。白石も、この所有印をつけたあいつも。


「で?」
『だから、見えるところにつけんのやめろ』
「は?何がです?」
『だーかーらー!これ!』


首元をさせば、あーとか表情のない声。もうホント嫌。いい加減にしろ。いっつもどうやって隠そうか試行錯誤してる私の身になれよバカ、なんて言えば、じゃあ今日みたいに隠さないでおればええやないですかと返された。ふざけんな。そんなおおぴろげにできるか。


「てんさんは俺のもんなんやから別にええやないですか」
『うるさい』
「それにさっきの言い方やと、見えないところならつけてもええっていう風にとれますけど」
『なっ!』


ほら、こうやってすぐに人の揚げ足をとる。きっと睨み付ければ、こバカにしたような目で見おろしてきた。違うんですか、とか挑戦的に笑いながら近づいて、首筋に顔をうずめてくる。最悪最悪。この鬼畜ピアス。


『……光なんて嫌い』
「そないなバレバレな嘘つかんといてくれます?」
『嘘じゃないし』
「嘘って言え」
『……嘘』


目の前からぎゅっと抱きしめてきた光の力がいつもより強かった。そして、耳元でそないなこと嘘でも聞きたないっすわ、なんて言われ、首に痛みが走った。
こいつの手前何を言っても無駄だってことがわかった。もうあきらめるしかないのかも。そう思って、気づかれないようにため息を吐いた。


(光に愛されるのって大変)
(てんさんやからっすわ)

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