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眠い。
だからどうか眠らせてほしいお願い本当にお願い。
ぎゅっと目をつぶるけれど、瞼の裏にまで今の状況が現れる始末。もういい加減にしてよ。


『眠れない』
「俺の腕枕で寝れないとかおかしいんじゃねぇ?」


まじこいつ黙れ。私は眠いんだよ、そこんとこわかっとけよこの赤頭。私のおでこに近づけられた丸井の吐息はなんだか甘ったるい。それもそうかさっきまでケーキだのなんだの食べてたもんな、もうそのまま太ってしまえこの女の敵。


「なぁ、てん」
『何だよ』
「イライラすんなって!」
『誰がさせてると思うの』
「誰」
『お前だわ!』


そう言えば、なんで俺なんだよとか口を尖らせる始末。ぶっちゃけかわいくないからな、それでどの女もおちるとか思ってたら大間違いだからな。っていうか、なんでこうなったわけ。なんで私と一緒に丸井寝てるの。しかも腕枕で。なんでこうなった。この男は慣れてるかもしれないけど私は本当の本当にこういうの免疫ない。


「てん」
『何よ』


べっつにーなんてへらへら笑うから調子狂う。もうホントなんなの。
さらには抱き枕にちょうどいいなんていって、より抱きしめられるときた。まじこいつ何考えてんの。まじありえない。
っていうか、そもそもね!仁王が悪いんだよ!
仁王が丸井の家で飲み会やってるって電話してきたのがかれこれ2時間くらい前で。その誘いに乗った私は楽しく飲んでたわけで。でも時間が時間だったし、帰る手段もなくなっちゃってしょうがなく丸井んちにとまることになったのまではいいんだよ。
問題はここからなんだよ。
先につぶれた仁王が丸井のベッドを占領したのが悪い。そのせいで私と丸井に許されたスペースは床な上に、ギリ二人分寝れるかもわからないスペース。眠さが勝った故に今、現状にいたるのだけれど。
なにこれ、それがどうしてこうなった。なんで腕枕。腕枕じゃなくてもよくね?なーんて言えば、俺がしたいんだよ、なんて耳元で言われる始末。くそ……眠いのに。眠いのにそれ以上にドキドキが止まらなくて眠れない。


(あーもう眠い!)(寝ればいいだろぃ?)(寝れんわ馬鹿野郎!)
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