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「ねぇ、何してるの」
『いや、見ればわかるでしょ』


いきなり目の前に現れたふくれっつらに思わず両手で両頬を叩いてやりたくなった。そしたらそうとうおもしろいのに、なんて考えたけど当然できるわけもなく、目の前の魔王様は未だにふくれっつら健在だ。


「何、梓月は俺より勉強の方が大事なわけ?」


はいはい、出ました。ここ最近何かといわれる言葉。俺よりなんとかのほうが大事なの?そう言えばそんなわけないよ、とでも言ってくれるとでも思っているのかしら。そうだとしたらそうとう甘い。私は幸村に甘くしてやる義務なんてないんだから。それに今の時期わかってる?大学受験も目の前に迫った高3の冬ですよ。ああそりゃ推薦で余裕で合格した幸村には関係ないかもだけど、私は実力でうかりたいから受験組だから勉強しなければならない。そこんところわかって毎回やって来るから余計たちが悪い。


「ねぇ、梓月ってば」


ああ、もう、うるさいなぁ。幸村の相手をしてる場合じゃないんだってば。そう言うと、より不機嫌になる幸村。知ったこっちゃない。こっちは邪魔されてる場合じゃないんだから。


「彼氏の俺を無視するのかい?」
『誰がいつ幸村の彼女になったよ』
「いつって生まれた時から」


うっざい。めちゃくちゃうっざい。そんなにかまってほしかったのか。それだったら他のやつにかまってもらえばいいのに。なんで私に絡んでくるの。なんであえての私。勉強してるこの私なの。


「ったく、そんなの愚問じゃないか」


私の恨めし気な視線に言いたいことがわかったのか、ふふっと綺麗に笑った幸村。流石絵になるなんて私は言ってやる義務なんてない。


「梓月のことが好きだから」


だからお前が足りないんだ、なーんて。自信たっぷりに胸を反らせて言い張ったもんだから、私には勉強不足+頭痛がいつものごとく襲いくるのだった。



(勉強不足に頭痛?そんなものに襲われるより前に俺がお前を襲ってあげるよ)
(モウオソイデス)
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