▼ ▼ ▼

『ちょ、ちょっと待って跡部!』
「アーン?今更じゃねぇか」
『落ち着こう?ね、落ち着いて話をしよう』
「俺はお前とゆったりのんびり話すつもりはねぇ」
『私がしたいの!ね!お願い!』
「お前の身体に聞いた方が早い」
『ぎゃああいやああああ!!!』
「あ、こら!じっとしとけ!」
『やだやだやだやだ!怖いよ跡部が怖いよー!』


こいつら何してんだよ、なぁ、侑士答えろよ。
隣にいる侑士に小声で聞けば、黙っとき、と返された。
ここは保健室前。
侑士と二人でこの保健室前の廊下を通りかかったのがきっかけだ。
中から聞きなれた声が聞こえたと思って、耳をそばだてているのだ。
どうやら保健室には保健医がいないらしく、跡部とてんの二人っきりのようだ。
にしても、さっきから聞こえてくる会話があやしくてあやしくてしょうがない。
なんやエロいなとか侑士がつぶやいたのでとりあえず殴っておいた。


『ひっ』
「さっさと見せろ!」
『や、やだやだぁ!』
「やだじゃねぇんだよ!」
『い、いたっ、やめてよ跡部っ』
「なんでやめなきゃいけねぇんだよ、アーン?」
『んっ、ふ、ふざ、ふざけんなっ』
「ふざけてねぇだろうが」


おいおいおいおい、これちょっとやべぇんじゃねぇの!?
なぁ、おい、なぁ、侑士、おい!
隣を見てみれば、鼻を押さえている侑士がいた、え、こいつまさか鼻血、きたなっ!
きたねえよ、侑士!くそくそ!俺の隣でふざけんな!
いやいや、でもさっきから息遣いといいなんか発言といい本気でエロい。
てんってこんなエロいやつだったっけ。
いやいや、まさかそんな、普段とのギャップありすぎて頭が追いつかない。


「よし、これで終わりだ」
『ひいっ』
「ちょおまてや!!」
「ゆ、侑士!?」


え、お前さっきまで鼻血たらして、えっ、いや、鼻血止まってねぇじゃん!汚い!侑士汚い!
っていうか、保健室突入するなんて俺聞いてねぇよくそくそ!
ああ、もうどうにでもなれ!
と思って、保健室に入れば、目の前にはきょとん顔の跡部とてん。
あれれ?イケないことをしてたんじゃなかったのか?
跡部の手には消毒液、てんの腕にはちょっとした包帯。


「……なんや、跡部に梓月……」
『な、何』
「ベタすぎやで……」
「アーン?何の話だ」
「いや、なんでもない!な!侑士!」
『いや、鼻血だらだら流しながら言われてもね……』
「自分らまぎらわしいねん」
「まぁ、てっきり俺が梓月を襲ってたとでも思ったんだろう」
『お、襲っ!?』
「俺は全然そっちでもかまわねぇがな」
『跡部!?』


あーはいはい、いきなりいちゃこら始めやがった。
これだから跡部は。
てんもまんざらでもなさそうだし。
なんだかいっきに冷めて、侑士に帰るぞと言えば、俺も襲いたいねんけど、とか言い出したもんでもう、俺にはどうすることもできないと思いました。


(くそくそ!変態どもめ!)
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