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うわあうわあ最悪だ。
今日は街に出て一人楽しくショッピングでも楽しもうと思ったのに。
今の状況は全然楽しくない、寧ろ最悪だ。
なんていったって、ガラの悪そうなお兄さんたちに四方をぐるり囲まれているのだ。


「なぁなぁ、ねーちゃん一人なんだろ?」
「俺らと遊ぼうぜ?」
『いや、あの私人と待ち合わせしてて……』
「そんなこと言わずにさぁ?」
「ちょっとでいいから、俺らと楽しいことしよう?」


あなたたちが一瞬にして消えたら私、楽しいことこの上ないんだけどな!
そんなことも言えるはずがなく、血の気がすでにひいてしまった顔をうつむかせた。


「ねぇ」


急に聴きなれない声が聴こえたと思ったら目の前にはテニスのラケットがあった。
びっくりして、右側を見ると、帽子を目深に被った、小学生?中学生?くらいの男の子が立っていた。


「ねぇ、あんたらなにしてんの?」
「んだとガキ」
「ふーん暇なんだね」
「ああん?」


くいっと帽子のツバを上げた男の子は挑戦的な笑みを浮かべて、不良なお兄さんたちを見渡した。
ひやひやとしながら見守っていると、ばっちり目があった。


「ね、あんたさ、俺との約束破ってこんなとこで何してんの?」


ぽかんとして、男の子を見ていると、口角をにっと上げた。
どうやらあわせろってことらしい。


『ご、ごめん!ちょっと声かけられてしまって』
「俺、約束破られんの、嫌いなんだけど?」
『今行くから!』
「おいおい、ねーちゃんそりゃないぜ」
「俺らと遊ぶって約束したじゃん?」
『なっ、そんなのしてません!』
「って、言ってるけど?」
「おい、ガキはすっ込んでろ」
「誰がガキ?」


そう言った瞬間、彼はボールを上げて、サーブを打った。
一回地面に落ちたボールは不良のお兄さんの顔めがけて飛んで行った。


「あんたらも、同じ目にあいたい?」


地面にボールをつきながらそう言えば、青い顔をしてお兄さんたちは走って逃げていく。
男の子は男の子で、つまんないという顔をして、まだまだだね、と吐き捨てた。
そしてそのままここから立ち去ろうとする。


『あ、待って!』
「何?」
『あの、助けてくれてありがとう』
「別に」
『お礼させてくれない?』
「いらない」
『でも、それじゃあ私の気が済まない』


そう言うと、しばらく考えたあと、私に向き合って、また、あの挑戦的な笑みを浮かべた。


「ねぇ、じゃあさ、俺との約束守ってよ」


約束?
あれはさっきのとっさの設定じゃなかったのか?
彼とは初対面だし、約束などあるわけがない。
ぽかんとしてると、変な顔なんて男の子に笑われた。


「今日一日俺に付き合うっていう約束」
『へっ』
「あ、それとも俺と付き合うっていう約束でもいいけど」
『ええっ』
「俺、約束破られんの嫌いだって言ったよね」
『えええっ!?』


ね、俺と付き合ってよ、なんて笑顔で言われるもんだから思わず彼の手をとっちゃったなんて。



救世主との約束



その後、彼に付き合った結果、テニスによってボロボロにされたのは言うまでもない。
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