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「う、うわあ!どうしたのその顔!」


今日は日曜日。
たまには一人でふらっと何処かに行くのもいいかもしれない、なんて気まぐれで外に出た。
するとどうだろう、今から部活に行くところなのか、ジャージ姿の剣太郎くんに会った。
そして、私の顔を見た剣太郎くんはびっくりした顔で冒頭の言葉を吐いたのだった。


『あ、ごめん……やっぱり変だったかな』
「あ、いや!違うんだよ!」
『えっ』
「梓月さんが化粧してるところなんて初めて見たから……」
『学校にはしていっちゃだめだからねぇ……休みの日ぐらいやってみようかと思って』
「へぇ……へええー」
『う、うん……やっぱ変、だよね?』
「うえええ!?」


うえええって。
でも、やっぱりいつもしないことを急にするといけないね。
なんだか恥ずかしくなって、うつむいて、家に戻って化粧落とそうかな、とつぶやいた。


「えっ、化粧落としちゃうの!?」
『うん……なんか変だし』
「そそそそんなことないって!すんごいかわいいよ!?」
『あはは、お世辞はいいってー』
「お、お世辞じゃないってばぁ!ホントに、ホントのホントにかわいいよ!」
『剣太郎くん……』
「い、いつもの梓月さんももちろんかわいいけど、化粧してる梓月さんはなんていうか、い、色っぽいし、なんかなんか、だ、誰にも見せたくないとか思っちゃうし……って!僕はいったい何を口走ってるんだっっっ」
『け、剣太郎くん……?』
「と、とにかく!化粧してる梓月さん、かわいいよ」


う、うわあ……真っ赤な顔で、でも堂々と、笑顔で言ってのけた剣太郎くんに私まで真っ赤になってしまった。
女の子好きという噂の剣太郎くんだけど、気持ちはまっすぐで、素直で、心臓がばくばくとうるさい。
二人してうつむいていると、剣太郎くんが、僕部活だから、と言って、くるっと方向転換した。


『……剣太郎くん、ありがとう』
「……!あ、で、でも、」
『?』
「そんなにかわいい顔、僕以外に見せて欲しくないな、なんて」
『!』
「ご、ごめん!それじゃあ、また明日、学校で!」


走って行った剣太郎くんの耳は真っ赤で、思わず、学校と逆方向だよ、というのも言いそびれた。
ああ、もう、これは期待してもいいのかしら。
高鳴る鼓動がよりいっそううるさくなる。
とりあえず、いったん家に帰って化粧を落とそうと、私もくるりと方向転換して走り出した。
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