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「ね、もう一回!もう一回だけ!」


両手を両肩に置かれ、なおかつすんごく至近距離に顔がある状態で、菊丸くんは言った。
いやいやそうは申されても、私にはそんな勇気があるわけもなく、ホント出来心だったんだもの。
一瞬だった。
あ、キスしたい、なんて急に思っちゃって、気付いた時にはいつの間にかしていたのだ。
その、なんていうか、ものすごく愛しいなって思っちゃって、それで身体が勝手に。
だから改めてこうして見つめあって、身構えてするとなると、緊張で身体が動かない。


「ねー……てん?」
『ご、ごめ』
「顔真っ赤……」
『う、うわああああ見ないでよ……』
「あ、こらっ!こっち向かないとだめでしょー?もー!」
『そうは言われてもっ』
「そっちからキスしてきたんじゃん」
『だって、身体が勝手に』
「俺を欲してた?」
『なっ、ば、ばか!』
「あはは!かーわいー!」


顔があつい。耳があつい。身体があつい。
そうさせたのはもちろん菊丸くんのせいで、恨みを込めた目で見上げれば、さそってんのかにゃーなんてからかわれる始末。
ああ、もう、私はホント、毎回毎回菊丸くんに振り回されっぱなしだ。


「ね、てん、もう一回だけ。だけど、今度は俺から」


小さなリップ音の後にふってきた嬉しそうな菊丸くんの笑顔にまた、私は振り回されるに違いない。
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