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「あい?梓月その睫なんだばぁよ」


いきなりそう言われ、きょとんとした顔で私の顔を覗き込む知念くんに、私は思わずすっとんきょうな声を出した。
ああもうびっくりするなぁ。
興味深げに瞬きをした知念くんの前髪の白いふさふさが目の前で揺れている。


『植毛してみた』
「ふうん」
『ごめん嘘。つっこんでよ』


めんどくさいと言いたげな顔をした知念くんが、急に手を伸ばしてきて私の目に触れた。そして人差し指で私の睫を珍しそうにいじる。内心ドキドキしながらされるがままにしていると、この睫どうしたんだばぁよ、ともう一度聞かれた。
どうしたって……ねぇ?
最近女子高生とか女子大生とかつけてるっていうつけ睫、やっぱり女子として気になるわけで。友人と買いに行ってためしにさっきつけてみただけなんだけど。


「やーそんなに睫長くなかったばぁよ」
『失礼な』
「ホントのことさぁ」
『だから失礼だってば。これつけ睫』
「つけ睫……ふうん」
『何か文句でも?』
「梓月には似合わねーらん」


ふにふにと触っていた睫から手をそのまま頬に滑らせた知念くんは、少し意地悪い笑みを浮かべた。ずっと触っていながら何を言う。でもまぁ、知念くんが言うんだったらやっぱり大人ぶるのやめちゃおうと思う。
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