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「はぁ……もう無理っす、先輩」


部室で部誌を書いていると、急に開いた扉。そこに立っていたのは今現在部活中であるはずの赤也で、私の横にどっかりと座った。どこか息が荒くて、顔も悪魔化の時みたいに真っ赤。私にもたれかかってきた赤也の体は熱くて、びっくりした。この子もしかして熱あるんじゃないの!?額に手を当ててみれば案の定熱くて。


『赤也体調悪い?』
「……朝からっす」
『ばか!』


朝からこの高熱で練習したり授業を受けていたというのか。もう無理なのも当たり前。体調管理を怠るとはたるんどる!なんて真田は言いそうだけど、それどころじゃない。
赤也のジャージが見つからなかったので自分が着ていたカーデを赤也に着せれば、てん先輩の匂い、なんて言ってふにゃりと笑った。あーもうかわいいなぁ。こんな時にこんなこと思うなんて不謹慎だけど、ぎゅっと抱きしめたくなるかわいさ。


『なんで言ってくれなかったの』
「かっこわるいじゃん」


かっこわるいから言わなかったっていうのか赤也は。ホントばか。それに負けたみたいでいやだし、なんて唇を尖らせる。これでぶっ倒れた方がかっこ悪いよ。私の膝に頭を乗せた赤也にため息を吐けば、目をうっすらと開けて、呆れた?と聞いてきた。そりゃ呆れもする。ホントこれで余計悪化させたらどうするんだ。大事な時期なのに。
でも、私だけに弱いところ見せてくれたことがなによりうれしいとか思ってるなんて、絶対に言えないけど。


「先輩ならかっこわるくても受け入れてくれるって信じてたっすから」


なんて笑って言った赤也に、私まで熱が出そうだった。
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