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「じゃっじゃーん」
と、効果音付きで自慢げに私に見せた丸井。机の上には色とりどりのポッキーが器用に一直線に立っていた。
「秘技ポッキートーテムポール!」
どう?天才的だろぃ?なんて言ってにやついている。
うん、すごい。すごいよ丸井。こんなに素晴らしくどうでもいいことは初めてだよ私!
あまりの秘儀の無駄遣いにため息を吐くと、俺の秘儀がすごくてため息しか出ないんだな、なんて頷いている。そのポジティブさ、尊敬するよ。
『私イチゴ味食べたい』
「感想言ってからな」
『すごいでちゅねー』
「バカにしてる?」
バカになんてそんなそんな。最初っからしてるに決まってるじゃないの。なんて言わずに、近くにおいてあったイチゴ味のポッキーを袋から二つ取り出す。一つを口にくわえてもごもごしていたら、そこでようやく丸井が気づいたらしく、勝手にとってんじゃねえなんて怒られた。
「俺に断りいれろぃ」
『ジャッカルーポッキーありがとー』
「おう」
「おい!なんでばれてんだよ!」
『丸井のことだし』
そう言ってジャッカルと顔を見合わせて笑えば何故か丸井はむっすりとした。俺も買ったしとかなんとか言ってたけど、丸井のことだからほとんどジャッカルに買わせたんだろうな。丸井らしいっちゃ丸井らしいけど。
「……それうまい?」
丸井が急に黙って私の持っているポッキーを見つめた。まだ食べてなかったのかな。そういや期間限定とか書いてあった気がするし。手に持っていたもう一つのポッキーを丸井に渡そうと手を伸ばした時、急にその腕を掴まれ、いつの間にか目の前に丸井の顔。わざとらしくリップ音をならした丸井の唇には食べかけのポッキー。あれ、嘘だなにこれ。
「あっま」
唇をぺろりと舐めた丸井にめまいがした。