▼ ▼ ▼

「先輩先輩!梓月先輩ー!」

『うわぁ』

「う、うわー明らかに嫌そうな顔……」

『してない!してないから落ち込まないで!』

「そんなことより!」

『えっ、私の慰めスルー!?』

「見て下さいよ、これ!」

『なにこれ』

「んもー、梓月先輩見て分かんないんすか?」

『分かんない……って嘘!嘘だから!分かったから!ケーキだよね!どうしたのこれ!』

「ふっふっふー!」

『もしかして自分で作ったの?』

「そうなんすよ!丸井先輩に教えてもらって、作って来たんすよ!」

『へええ!すごいじゃん、切原くん!』

「えへへーでしょでしょー?」

『で、これどうするの?』

「え、そんなの決まってるじゃないっすか」

『えっ、なんで私を見て、えっ』

「梓月先輩……食べてくれないんすか?」

『そんなわんこみたいな目で見ないでっ』

「せっかく、俺、早起きして……先輩のこと思って作ってきたのに……あーあ、先輩がそんなに薄情な人とは思わなかったぜ」

『ご、ごめん、食べるから!ね?』

「別にいいっすよ、そんな無理しなくても」

『いや、そんないじけないで!』

「いじけてない」

『あーもう!かして!』

「あ」

『……あれっ、おいしいや』

「ほ、本当っすか!?」

『うん、見た目は……いやなんでもない、けどめっちゃおいしいよ』

「わ、わぁ……梓月先輩から褒められるとか嬉しすぎて……」

『すごいじゃん、切原くん、おいしいケーキありがとう!』

「わああ……わああ……!俺感動っす!」

『お、大袈裟だなぁ』

「絶対突き返されると思ってた!」

『まぁ、その気まんまんだったんだけど、あ、嘘!嘘だって!』

「じゃあ、先輩にこれ全部あげますよ!」

『ホントにくれるの?』

「え、ここは1ホールもかよ!ってつっこむところじゃなかったんすか!全部もらってくれるんすか!なんなんですか先輩!まじ意味わかんねぇ!」

『えっええー!?』

「いや、感動してるんす!これが他の先輩とかだったら絶対突き返されてたと思いますし!」

『確かに』

「ホント先輩は優しいっすね!俺、練習しますから、また食べてくださいね!今度はもっとうまく作ってきますから!」

『あ、ありがとう、切原くん』

「先輩に褒められるためならなんだって頑張りますよ、俺」

『お、おう』

「だから、先輩!俺と付き合いましょう?」

『どうしてそうなった』



オチなんてない
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