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柳蓮二は夢を見た。
そこはなんとも現実染みていて、自分の教室の自分の机の上に恋焦がれていた彼女を手でぬいつけていた。頬を染めて自分を見つめる彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいて、思わず笑ってしまいそうになる。愛おしい。その感情で支配されそうだ。
この柳蓮二が、だ。
片手でそっと撫でた彼女の髪はさらさらと流れ、机におちて広がる。髪で隠れていた彼女の頬や首筋が顕になって、いつもはあまり見ることができない肌に欲情した。もっと触れたい、触れていたい。夢でなければいいのに。そう思うと同時にこの夢が永遠に続けばいいのにとも思う。


『     』


彼女の唇がゆっくりと何事か呟く。ああ、聞き取れない。あの愛らしい声すらも耳に届かなくて、そのもどかしさゆえに彼女の唇を攫う。満たされていく。このまま死んでしまってもかまわない。そう思えるほどに。


『柳くん、珍しく寝てたね』
「恥ずかしいものを見られてしまったな」


目の前でにっこりと笑っている彼女は、先ほどの熱っぽい表情なんてしていない。いや、そもそもその表情を向けられる可能性も相当低いのだろう。それは何故か。


「梓月」
『ごめんね、彼に呼ばれてるから……また明日、柳くん』


そう言って攫ってしまいたくなるほど愛おしい表情を向ける相手が彼女にはすでに存在しているからだ。
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