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『げほっ』
「アーン?風邪か?」
『そうだよー』
「そうだよ、ってお前な……」
『だから喉が痛いんだよー』
「なんだ、その目は」
『だーかーらー喉が痛いんだよ』
「だから何が言いたいんだ」
『……なんでもない』
「はっきり言え」
『意地悪だなぁ、わかってるくせに』
「いーや、わかんねぇな」
『跡部のど飴持ってるでしょ』
「アーン?」
『さっきから口の中もごもごしてる』
「……のど飴とは限らないぜ?」
『ミントの香りするもん』
「宍戸からもらった」
『はい』
「なんだその手は」
『宍戸から何個か貰ってたでしょ?ちょうだい』
「……」
『跡部?』
「口開けろ」
『え』
「ん」
『!?』
「まずいからやる」
『あ、跡部!?ちょ、これ!何これ!』
「口移し、ってやつだ」
『な、えっ、は!?食べちゃってる私もどうかと思うけどなんでわざわざ跡部が食べてたやつを!』
「お前がくれって言うからじゃねーの」
『だ、誰も跡部が食べてたやつだなんて言ってない!』
「嘘が下手だな」
『な、何を!』
「ずっと俺の唇見てたじゃねぇか」
『ううううううるさい!バカ跡部!』