▼ ▼ ▼


『ねーししどー』
「あー?」
『幸せってなんだろう』


いきなりなんなんだよお前、なんて水を飲みながら呆れた声を出した宍戸は私の横に腰を下ろした。さっきまでテニスをしていたためか、肩ごしに熱気が伝わってくる。よくもまぁ飽きもせず、引退してもなおこうやって練習なんかやってるよね。私なんて地区大会でさっさと負けてすぐにその世界から足を洗っちゃったっていうのにさ。ホント熱血男だよね、宍戸って。


『宍戸はどんな時が幸せ?』
「そりゃぁ……テニスしてる時だろ」
『ふぅん』
「んだよ聞いといてその興味なさげな反応は」
『言うと思ったんだもん、宍戸テニスバカだし』
「うっせえよ」


笑いながら言えば宍戸は私の頭を小突いた。地味に痛いっつの。
私はお返しに手に持っていたタオルを宍戸に投げつけたけれど、まんまとかわされた挙句、ちょうどよかったと言わんばかりにそのタオルで汗をふいた。このやろう、それは私のお気に入りのタオルだぞ。


「お前は?」


タオルを取り返そうと悪戦苦闘していると、ふいに宍戸に聞かれ、変な声が出た。


「お前が幸せなのはどんな時だ?」
『私が幸せなのは』
「……」
『宍戸の誕生日に一緒に過ごせる今、かな』
「!?」


宍戸はばっと私の方を見て、真っ赤な顔をタオルで覆った。おい、だからそれ私のタオルだってば。そう言えば、タオルを私の顔に投げつけてきた。痛いって。
帽子を深くかぶりなおした宍戸は、一言ばーかと言って歩き出した。照れ屋さんだな、ホント。かわんない。照れるとほっぺをかく癖も。宍戸の後姿がなんだかかわいくて、その背中に誕生日おめでとうって叫んでやれば、宍戸は肩ごしに手をふった。



▼宍戸さんはっぴーばーすでーーー!
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -