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数年前まではそんなに変わらなかった身長も、今ではとうに抜かされたあげく大きな差まで開いて、私は彼の顔を見上げるたびに少しだけ寂しくなる。


「何?」
『ううん、何も』


私とリョーマは中学時代からの友達で、そんなに長いとはいえない付き合いだけれどいつも気づけば隣にいた気がする。
こうやって一緒に帰るようになったのも、ホントたまたまで帰る方向が一緒だったっていうだけだ。一時期、私とリョーマの関係をはやしたてられていた時もあった。私的には少しドキドキしたし、噂のような関係になれたらなんて思ったものだけれど、きっとこの人は私のことなんとも思っていないんだろうなぁ。


『リョーマ大きくなったね』
「いきなり何」
『いや、なんかしみじみしてきて』
「……保護者」


くっと喉の奥で小さく笑って、リョーマはさっさと歩いていく。
いつの間にか歩幅も大きくなっちゃって、私は走らないと彼に追いつけない。このまま、リョーマは私を置いてどこか遠いところにいっちゃうのかな。なんかそれって凄く寂しい。


『ね、リョーマ』
「ん」
『私たちいつまでこうしてられるのかな?』


その言葉に振り向いたリョーマは少しだけおどろいたような顔をしていた。なんで泣いてんの、とか言われたから手を目に持っていけば本当に涙が出ていた。あれ、なんで泣いてんだろ。わかんない。近づいてきたリョーマの親指が私の目元を拭う。


「いつまでとかそんなのわからないし」
『……』
「でも、俺はずっとこうやって梓月の隣にいるつもりだったけど?」


目を見開くと、目の前には見たことのないようなとびっきりの笑顔のリョーマがいて、なかなか見れないその顔に嬉しくなって私は笑った。泣いたり笑ったり、もう私にもわかんない。でも、今すっごく幸せなのは確か。
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