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『おはよ!』
「おはようさん、小邑」
本日12月1日、散々な就活の幕開けと共にやってきた現実は、たこナビLIVE2013という名の合同説明会であった。
よう眠れたか?なんて無駄のないさわやかな笑顔で私に聞いてきた白石に、私は自分の隈を見せつけた。
『たこナビ息してなかったよね』
「せやなぁ」
『おかげで日付超えてから一睡もしてない』
「ぶったおれんよう、気ぃ付けや」
優しいねぇ、白石くんは。でもその優しさには裏があるんだろう。自分は無駄なくすませましたっていう余裕とか。
余裕とか。余裕とか。
「寒すぎやろありえへんで」
「なんで私たちのイベントってこんなに雨が多いのかしら〜ん」
「小春う!きっと小春のかわいさに天も泣いとるんや!恵みの雨や!」
「朝からお前らるっさいわ!」
あ、来た。
健ちゃんに一氏に小春ちゃんに謙也が、わいわいとしながら私たちに近づいてくる。
相変わらずうるさ……にぎやかやなぁと思って見ていると、ばちりと一氏と目があって、にやりと笑われた。
「聞いたで小邑、一睡もしてへんのやろ」
『な、何故それを!』
「謙也くんが教えてくれましたー」
『謙也!』
「ほんまのことやろ!」
「んで?エントリーできたんか?」
『そういう一氏こそどうなのよ』
「俺はたこナビ賑わっとる間、ナニナビでエントリーしたったわ」
『はっ!その手が!』
「そこらへんのアホどもとは、ここのつくりが違うんじゃ」
見下した笑顔で、一氏は自分の頭を人差し指でとんとんとさした。
くううむかつく!一氏に言われると余計むかつく!
どうせそんな手小春ちゃんに聞いたに決まってんじゃん!
「まぁな」
『まぁなじゃねえええ!』
「はいはい、ほら、二人ともそこらへんにしとき」
「ええ加減行くでー」
「置いてけ、白石」
「バスめっちゃ並んでるやん」
ちょっと待ってよ!二人同時に叫んで、私たちを置いてバス停に歩き出したみんなに急いでついていく。
黒々しい塊を目に留めながらも、一氏との言い合いをやめなかったら、謙也にため息をはかれた。一生の恥。
たこナビ:たこやきナビという就活サイト
ナニナビ:ナニワナビという就活サイト