ちんすこうがいっぱい

お腹がすいたなぁ。4限目前の休み時間、この時間が一番お腹がすく。
私はお母さんが忍ばせてくれていたものを思い出して、鞄の中を探った。
あったあった、これこれ。


「ん?上代何食べとるかやー」

『あ、慧くん』

「ちんすこうかや?」

『うん!お母さんが昨日いっぱい買って来たんだ!』

「ふうん」


慧くんはそう言うと、にっと笑って、手に持っていた布袋をさかさまにした。
えっと思う間もなく、私の机の上には、色とりどりの袋がばらばらと広がった。


『えっ何これすごい!全部ちんすこう!?』

「こんなに種類あるんど」

『うおー!ホントだ!塩……チョコ、チーズに?紅芋にパイナップル!?ゴマもある!』

「どれもまーさんどー!」


そんなことを慧くんが言うから食べてもいいのかと思って手を伸ばしたら、ぶん取られた。
食べちゃだめだったらしい。つらい。
大人しく自分のちんすこうをもさもさ食べた。これはプレーンかなぁ。
慧くんは慧くんで、自分で持ってきたちんすこうをむしゃむしゃと食べていた。
まぁ、慧くんが食べてるところ見てるとなんか元気出るからいいんだけどね。
ふうん。紅芋のちんすこうか。


『紅芋はなんかえいしろうっぽいね』

「ん?」

『チーズは……犬っぽいゆうじろう』

「あー!」

『平古場は塩か髪色的にパイナップルかな』

「それうむさっさ!」

『知念くんは?』

「チョコ」

『なんかわかるかも。見た目は静かだけど甘くて優しいところとか』

「わんは?」

『黒糖とか!』

「黒糖でーじ好きさぁ!」


なんかおもしろいな。
ちんすこうがこんなに味があると思ってなかったし、味をみんなにあてはめるのちょっと楽しい。
私も今度いろんな味のちんすこう買いにいってみよう。
予鈴がなると、帰り際に、慧くんは一つだけ、と言って、黒糖味のちんすこうを私にくれた。
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