日焼け止め
『失敬な!』
「日焼け止め?」
『日差し強いんだもん!』
鼻をつまんだ平古場を一瞥して、私は自分の席についた。
今さっきおろしたカバンから日焼け止めを取り出し、また肌に塗る。
「え、室内にいるのにまだ塗るのかよ」
『だって窓際だし、日差しやばい』
「そうだけどよ、カーテンしめれば?」
『カーテンじゃ防ぎようのない紫外線が私にいつも突き刺さっている……』
ふうん、そんなもん?うん、そんなもん。
ていうか、お洒落に気を使う平古場なら、日焼けにも気を使いそうなのに。
テニス部だから関係ないとか?
そういうところは男子だなぁ。
「ぬーがや、何かいいたいことでもあるんかやぁ」
『べーつに』
そういや平古場たちがテニスしてるところってあんまり見たことないんだよね。
強いって、この前女の子たちが話してたのを聞いたけれど。
今度覗いてみようかなぁ。
考え込みながらいまだに日焼け止めを塗り込む私を見て、平古場は呆れ顔で前に向き戻った。