ゴーヤーだけは勘弁
出会った時から疑問だったことを口にすれば、えいしろーは少しだけ眉根を寄せた。
え、なんか怒らせるようなこと言ったかな私。
「うちなんちゅである俺がゴーヤー持ってたらおかしいですか」
『いやそんなめっそうもないです』
「ならいいじゃないですか」
『いいんですけど』
「けど?」
『気になる』
本当にあなたはどうでもいいことが気になるんですね。
と言わんばかりの視線を受け止めながら、私はえいしろーの目をじいっと見つめた。
はぁ、とため息を吐いて、彼はゆうじろうの椅子に腰をかけた。
「上代さんは、テニス部の面々がゴーヤー嫌いなの知ってますか」
『え、そうなんだ?てっきり好きなのかと思ってた』
「俺も昔は嫌いだった」
『意外だね』
「ですが、沖縄を誇りに思うならゴーヤー食えないでどうするんですか」
まぁ、確かに。沖縄って言われて思い浮かべるものはやっぱりゴーヤだし。
沖縄人なのに食べれないってなると、えいしろーのプライドが傷ついちゃうのかもしれない。
「なので、彼らにも同じように沖縄に誇りをもってもらいたい、それだけです」
『なるほどねぇ』
「体にもいいですしね」
『そっかぁ』
「そうだ、せっかくですし今日の昼飯は俺と一緒にゴーヤーづくしDXでも食べましょうかね」
『えっ』
「さぁ、行きますよ」
『えっえっ』
えいしろーにつれられやってきた食堂で、おごりだと言われて目の前にだされたゴーヤーづくしDXに、私はもうゴーヤーだけは勘弁と言いたくなりました。
(でも夏バテには効くかも。)