汗、どろどろりっち

しんとした教室には蝉の声と時計の音が充満していた。
今年度来たばっかりという先生は、最近よく暑さでぶったおれるらしく、今日も自習となったのだ。
私の額に浮いた汗は、そのまま頬を伝って数学の問題集に落ちそうになる。
危ない危ない。ハンカチでぬぐうけれど、そのハンカチもほんのりとしめっていた。
どろどろり。そんな効果音がでちゃいそうなほど、全身汗だらけ。気持ち悪いなぁ。
ちょっと息を抜こう。
そう思って、深呼吸をしても、私の肺の中には生ぬるい空気しか溜まらない。はぁあ。
前の席はゆうじろうだ。ちなみにその斜め前が平古場。
ゆうじろうは半袖をさらにまくり、ノースリーブのように着ているし、平古場にいたっては、インナーのタンクトップ姿だ。
ううう。くそう。私も中にタンクトップ着て来ればよかった!
涼しそうだなぁ。
そんな二人でもやっぱりうっすらと汗をかいていて、ホントなんなんだこの暑さは!
とキレだしても、ボイコットし始めても、私が先生なら許すわ。
あ、平古場がポケットから何か取り出した。
って、えええ!それバレッタじゃん!しかもリボンのかわいいやつ!
え、どうすんの!?えっ!つけんの!?
暑いから髪の毛あげてとめるためにわざわざそんなかわいいものを!?
女の子が集まるヘアアクセサリー屋さんに入って行ったのだろうか……。
笑いたいけど全然普通に馴染んでそうで逆に笑えないし、うなじ綺麗だな。くそう。
今度は目の前のゆうじろうの手が動いた。腕につけてた、色とりどりのゴムの中から、涼しげな水色のゴムを選び髪の毛を一つにくくる。こいつもこいつでうなじがセクシーだ。
ふざけんなよ。
小声で女子かお前ら、なんてもらしたら、二人とも肩をびくつかせた。
自覚はあったんだね。
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