早起きのチムワサワサ


朝6時、たたき起こしてきたお母さんに、何かを持たされて、玄関から放り出された私は、寝ぼけ眼のまま、言われるがままに公園に向かうと、何やら人が集まっていた。


『え、何の集まり……?』

「ラジオ体操さーね」

『え!わ!知念くん!』


後ろから声をかけられて、びっくりした私がおかしかったのか、知念くんは笑いながら、私が持つカードを指さした。


「上代も参加するばぁ?」

『え、あ、うん』


私はそこでようやく持たされたカードがラジオ体操出席カードであることに気づいて、知念くんの首にかけられているカードをこっそり覗くと、今日までしっかり皆勤賞だった。
合宿中もそういやラジオ体操していた、ような?
まわりきってない頭で、すごいなあ、と思っていると、もうすぐ始まるさあ、と言って、知念くんは私の手を引くので、ようやく目が冴えてきた。
どうしよう、私、寝間着同然の服だし、頭もぼさぼさ。
恥ずかしすぎる。
こんな姿、他でもなく知念くんに見せてしまうだなんて!
横目でちらりと知念くんを見上げると目が合って、さあやりましょーねーと言われるだけで、何も気にしていなさそうだった。
それはそれでなんか、もにょもにょするけど。
小学生から、大人まで、ラジオの前に並んで、音楽に合わせて体を動かす。
そういえばラジオ体操なんていつぶりだろう。小学生ぶりかも。
朝のすがすがしい空気を肺いっぱいに吸い込んで、吐き出すと、気分がどんどん落ち着いてきて、鳥の囀り、風が揺らす木々の葉の音が耳をくすぐって、葉からこぼれる日の光に眩しく目を細めれば、どこからともなく、朝ごはんらしきお味噌汁のいい匂いがしてきた。
ラジオ体操の後の朝ごはんはきっと、おいしいだろうなあ。
出席のスタンプをもらって、帰ろうと公園の出口に向かえば、知念くんは私を待ってくれていたらしい。知念くんとお疲れを交わすと、急にじっと覗き込まれて、落ち着いていたはずの心臓がまたうるさくなる。


「寝ぐせ」

『え!』

「上代も寝ぐせなんてつけるやっさ」

『わーうそうそ、見ないで!』

「なんか、かわいいさーね」

『!』


こ、これだから、知念くんは!
あまりにも柔らかく笑うものだから、私はもう何も言えなくなってしまった。
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