あさがおとひまわりと、ときどき私

朝登校すると畑の方に平古場と知念くんの姿があった。何してんだろう。
静かに近づいたつもりが、同時に振り向かれて気づかれてしまった。
流石沖縄武術の使い手……侮れない。


『おはよ』

「なにしとるかやぁ」

「おはよう、上代」

『何見てたの』

「あさがお」

「ひまわり」


お、おう。二人とも見ているものが違った。
あさがおは平古場、ひまわりは知念くん。
どうやら、以前二人が何気なしに植えたものが、ここまで大きくなったらしい。
へえ、二人が育ててきたんだ。知念くんは思い浮かべれるけど平古場は無理だなぁ。


「今失礼なこと考えてただろ」

『別に。ひまわり綺麗だね、知念くん』


あ、ちょっと知念くん嬉しそう。
おもしろくない、と言うように平古場はそっぽをむいた。
大丈夫大丈夫、平古場の育てたあさがおも充分綺麗だよ。


『そういえば知ってる?あさがおとひまわりの花言葉』

「花言葉ー?」

「知らないさぁ」

『あさがおは明日もさわやかに、そして結束』

「へぇ、わんにぴったりやっし」

『……ひまわりはあこがれ、そして私の目はあなただけ見つめる』

「あこがれ……私の目はあなただけ見つめる……」

「ふうん、そんな意味があったんかやー」

「ところでなんでそんなこと知ってるやっし」

『うーん、ちょっとね!詳しい友人がいてさ』


昔、幾度となく聞いた花言葉を思い返して、私は彼らにあいそうな言葉を言ってみた。
知念くんはちょっと違うかもしれないけれど。
にしても、ひまわりのまっすぐで背の高いところは知念くんそっくりだし、
あさがおのくるんくるんと曲がってるのに綺麗な花を咲かせているところなんて、へそ曲がりだけどいい奴な平古場にそっくり。
おもしろいなぁ。最初っからこういう花ってわかってるけど、育ててる人に似るものなのかしら。


「そうだ、上代」

『ん?』

「わったー暫く朝練が忙しくなるからよー、水やりしてくれないかやぁ?」

『えっ、いいの』

「上代だから頼んでる」

『また知念くんはさらりとそんなこと言う』

「?」

『遅刻したらごめんね』

「その時はゴーヤーの刑さぁ」

『うわ、勘弁』


というわけで、朝練で水やりにこれない二人の代わりに水やり当番になりました。
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