夏バテと豚さん

お昼になって、私とゆうじろうは食堂に来た。


『あ』


チラガースモーク弁当を買うゆうじろうに言いかけて、私は口をふさぎながらまわりを見渡す。
ふう。よかった、えいしろーはいない。
えいしろーがいたら絶対、ゴーヤーふりかざして追ってきそうだもの。


「どーしたんかやぁ」

『あのね、ゆうじろう、私、夏バテかもしんない』

「夏バテー?あーそういやさっき倒れたんだろ?」

『倒れてはいないけど。なーんか最近食欲ないんだよね』

「体壊すばぁよ」

『うーんそうなんだけどさー』

「そんなん聞いたら、ゴーヤー持った永四郎飛んでくるだはずよ」

『だから、いないところ狙って話してるんだってば!もうゴーヤーづくしDX食べたくないもん!』

「あれはわんも無理」

『だよねー』


私は味を思い出して、うっとなった。口の中苦くなる。
ゆうじろうも同じなようで、変な顔になった。


「チラガースモーク弁当食べる前に変なこと言うな」

『そうだけどさー』

「で?上代はそれだけかやぁ?」


手に持っているうぃだいんぜりーをじゅるると飲み込んで私は頷いた。
ここ最近はこんなのばっかだよ。と言えば、ちょっとだけ心配そうにゆうじろうは私を見た。


「の割には痩せてねーらん」

『そっちの心配か!くそ!』


そうだけどさー!これでもちょっと減ったには減ったんだからなっ!
見た目ではわかんねーけど!見た目ではわかんねーけどな!


「そういや、夏バテには豚肉がいいって言ってた」

『えー豚肉かぁ食欲ないから食べれるかなぁ』

「このチラガースモーク弁当も豚の顔の皮やしが、これ食えばいいんじゃね?」

『いや、いい、だって、豚と見つめ合いながらご飯とかなんか、無理』

「そーかぁ?結構まーさんどー?食べてみれー」

『き、気持ちだけで充分だって』

「ほら」


間接ちっす……なんて思う間もなく、口元に押しやられた箸に私は意を決して、それを口にいれた。


「どうよ」

『おいしい……』


あれ、ウソだ。ピリ辛で、ご飯にあう。おいしい。これならご飯すすむかもしれない。


『私も頼んでこようかな』

「そうしれー」


親指を立てながら、にっと笑ったゆうじろうに見まもられながら、私はチラガースモーク弁当を購入した。
こうして、私は豚さんと見つめ合いながら夏バテを克服することができました。
そしてお帰り、私の体重。
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