いっぱい食べてほしい

肥前くんは、「めしは食う専門」だと聞いたので、はりきって彼の前にたくさんのおかずを並べると、一品、一品増えていくたびに、表情がどんどんうんざりしたものに変わるのがおもしろくなってきてしまった。


「あんたは、」
『うん?』
「おれをどうしたいんだよ?」
『それはもちろんいっぱい食べてほしいなって』
「いや食うけど、食うけどよ、量を考えろ」
『とか言いつつ食べてくれるもんね!肥前くんは!』
「圧がすげえんだよな」


文句を考えるのもめんどくさくなってしまったのか、彼は高々と積み上げられていた唐揚げを次々と口に放り込んでいく。
ぷくりと膨れたほっぺたが、うっかりつけてしまった口元のご飯粒が、とても愛しくて、にへりと笑ってしまう。
彼の前でにたにた笑っていると、それに気づいたのであろう。
肥前くんは、少しだけ眉を跳ね上げたかと思うと、大きい唐揚げを箸でつまんで、あろうことかそれを私の口に突っ込んできたではないか!
なんてことを!
一生懸命咀嚼しながら、文句を考えていると、よっぽど私の顔がおもしろかったのか、ふはっと気が抜けたように笑うので、これっぽっちも怒れなくなってしまった。


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