はっぴーはっぴーくりすますらぶ!


『シングルベールシングルベールすっずがーなるー今日はー悲っしいクリスマス、ヘイ!シングルベールシングルベーっていったぁ!』


12月25日……そう、その日はなんといってもクリスマス。
誰がなんと言おうともクリスマス。
街中を恋人たちが我が物顔で闊歩する、そんな日を目前にした今日。クリスマスを控えた本来祝日であるはずの23日の学校の帰り道、私と総悟は、一緒に歩いていた。


「さっきから、うるさいでさァ。ただでさえ祝日なのに振替で学校になってイライラしてんのに」
『知らないよ!歌うのだって私の勝手じゃない!』
「だったら俺の10m前を歩いてくだせェ。こんな彼氏いない歴イコール年齢の上にバカなやつと一緒にされたらたまったもんじゃねーや」
『総悟だって彼女いたことないくせに!』
「少なくとも俺は、誰かさんみたいに赤点取るようなバカじゃねぇですぜィ」


うっとつまった私に、総悟は勝ちほこったように思いっきり見下した目で見てきた。
こんの鬼畜野郎……だがしかし、そうなのだ、赤点をとってしまったというのはまぎれもない事実だった。
いつもなら、ギリギリ赤点を回避した点数をとっていたというのに。
よりにもよってこんな時に限って。


「それで、お前さん結局クリスマス補習なんですかィ?」
『明日再テストがある』
「補習決定じゃねーか」


真顔で即答されたので、むっとなって総悟を睨み付けて、まだ決まってない、というと、目に見えてまさァと鼻で笑われた。
ここまで言われる私って……ちょっと泣きたくなる。
でも、私にだって引き下がれない場面はある。
なにもクリスマスというイベントの日に補習なんてしたくない。理由がバカらしいと思われてもいい、だって、本当にバカなのだもの。バカだからちょっとべたな事も考えていた。
だというのに、まさかの赤点そして補習という現実を目の前に叩きつけられた。
しかもその大切なクリスマスの日に関わってしまう。


『頑張るもん……絶対補習なんかにしないもん』
「へーへー」
『もう!こっちは真剣なんだよ!』


何にも知らないで、適当に返事をするこいつが恨めしい。
涙が出そうになる目をこっそりこすっていると、急に、総悟が私の名前を呼んだ。


「おまじないかけてあげまさァ」
『はぁ?』
「いいから目閉じてろィ」


首を傾げつつ、言われた通りに目を閉じると、急に耳元にあたたかい息がかかった。
そして、一瞬のうちに離れていった。
ああ、もう、こいつは……。
この一瞬にして私の考えたことはすべてぶち壊されてしまったわけだけど。だけども、それ以上に、明日の再テストは絶対に合格しなくちゃいけなくなった。


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