まどろむ夏

夏の終わり、やけに冷える朝。
沖縄から東京へ出て来たというゆうじろうは、ベッドの上で寒そうに身を丸めた。
ぼう、と隣で彼の様子を見ていると、くしゃみをして、自分がしたくしゃみのくせに驚いて目を開けた。
それがなんだかおかしくて、声を殺して笑っていると、気づかれてにらまれた。


「てん」

『ん?』

「ひーさんど」

『なにそれ』


むっとした表情で、寒いと言いなおして、エアコンを指差す。
消してと言いたいらしい。
私はそれを無視して、ゆうじろうの横に寝転がる。
ぱちり。
ゆうじろうと目があって、何度かまばたきを繰り返すうちに、私はすっぽりと彼の腕の中。


「ぬくさん」

『あったかい』


同時に呟いた言葉はきっと同じ意味をもつのだろう。
再び閉じるまぶたに、私もつられてしまう。
途切れる意識の狭間に、おめでとうなんて言ってみると、やーもな、なんて意味不明な答えが返ってきて、それがたまらなく愛おしい。
おやすみ、ゆうじろう。
一つ歳をとったとしても、いつまでもそのままで。


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