12 / 19


うちの幸村部長は影響を受けやすいタイプだ。
先日は、部室にレギュラー陣とマネージャーである私を集めたかと思うと、「海岸荒行をしよう」なんて言い出した。
全員、あの真田ですら、何を言っているんだこいつは、という顔をしていたにも関わらず、当の本人は電話一本で、何部だかなんだか知らないが、私たちは財閥のヘリに無理やり押し込められ、すっごい綺麗な海までつれてこられたのだった。
ここどこよ。
「沖縄」
既に到着していたらしい幸村部長は、ハンモックに身を委ね、トロピカルなジュースをそれはそれはド派手なハートを描いたストローで飲み、無駄にバカァンスを堪能していた。無駄に。本当に無駄。
「比嘉中はここで練習のほとんどを海岸荒行に使っているみたいだね。俺たちもあれくらいの殺気を持って試合しなきゃ。だから、海岸荒行をしよう」
だからもクソもあるか。
テニスプレイヤーが殺気を持っててどうする。スポーツだよ。テニスはスポーツだよ。何度だって言うよ。テニスは!スポーツだよ!
うんざりとした顔で幸村部長を見つめたら、けろりと笑って、さぁ始めようか、なんて言うのだった。

BACK
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -