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入社して初めての飲み会。
今日はどうやらグループ会社の人たちも参加するらしく、ぺーぺーの私は心臓がばくばくしていた。
まだ会ったことのない他部署や他グループの会社の方々への挨拶だったり、飲食の世話、帰宅までの手配。他の企業に勤めている友人に聞いた社会の仕組みにびびりながら、私はシュミレーションをしていた。
だんだんと座敷に人が集まってくる。緊張するなあ。やだなあ。胃が痛くなってきた。
横っ腹を抑えていると、後ろから、大丈夫ですか、と声をかけられた。

「おや?」
『あれ?』

見上げたそこには高校の時の同級生の柳生くんの姿。
驚いていると、私の会社のグループ会社に勤めているのだと教えてくれた。
なんとなく彼の隣に座るも、会話はほとんどない。それもそうだ。高校のときだって数えるぐらいしかしゃべったことがない。
今は上司の世話を焼かなければいけないし、気が張っている中で思い出話なんてできやしないし。ていうかぶっちゃけ気まずい。
だんだんみんな出来上がってきて、ようやく落ち着いて座れると自分の元いた場所に戻ってくると、柳生くんも同じく戻ってきた。
もそもそと通らない喉に押し込んで、烏龍茶を流し込む。柳生くんも同じなようで、お茶を何杯も飲み干していた。
会話も生れない。気まずい。

「お前ら飲んでる?」

顔を真っ赤にした先輩がふらふらと私たちの前に座った。内心げっと思ったけれど顔に出すわけにもいかず、お水をすすめていると、上司はあろうことか柳生くんに絡み始めた。
名前は?どこの部署?どういう仕事してる?どこ出身?何校?ていうか何歳?
次々と投げかける質問に、柳生くんはたんたんと答えていく。
年齢を言ったあと、先輩は私をちらりと見てにやにやとし始める。

「同い年じゃん、付き合ったら?」

目を丸くする私と、むせる柳生くん。
あーあ、よりいっそう気まずくなっちゃった。

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