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謙也さんは幽霊が苦手らしい。
お化け屋敷や肝試しによく誘ってみるが、いっこうに首をたてに振らない。
それどころか真っ青な顔をして、風になる。
でもなあ、と思う。
幽霊はこんなにも謙也さんのことが好きなのに。
だってほら、謙也さんの右肩に、若い女の人の手のってる。
背中には子供がしがみついてるし。
背後からはずっとおばあちゃんが見守っている。
それだけじゃない、少し見えにくくなった何かがふよふよと謙也さんの周りを飛び回っている。
幽霊は謙也さんのことが大好きなのだ。
でも、なんとなく、幽霊が謙也さんのこと好きな理由がわかる気がする。
謙也さんはいつも一生懸命で、人が困っているところを見ると助けずにはいられない。
見返りも何も要求しないし、人に好かれようとしてやっていることではないから。
だからみんな、謙也さんに惹かれる。
幽霊だけじゃない、私だって謙也さんのこと大好きだ。
だから一緒に遊んでほしいなあ。
そう思って、また声をかけてみたけど、今日も失敗しちゃった。

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